今日は五四運動の記念日である。幸い中国公安当局の警備強化で、大きな反日デモを起こっていない。さて国交回復以降、今の日中関係は最悪と言っていい状態である。直接的な原因は小泉首相の靖国神社参拝と日本の常任理事国入りをアナン国連事務総長が口にしたことだ。しかし靖国神社問題だけで先般の大規模反日デモを説明する事は出来ず今少し考察が必要である。
靖国神社は戦死した日本兵を祀る神社であり、そこに日本国政府関係者が参拝したからといって不思議ではない。問題は1978年にＡ級戦犯も合祀された為、近隣諸国から見るとこの神社への参拝は戦犯礼賛、侵略戦争の正当化のように捉えられる。その様に見られる事を避ける為には、合祀を止めるか、靖国神社以外の所へ参拝を行なえば良く、既に日本には千鳥が淵戦没者墓苑といった適切な施設が有る。ところが何故か中曽根元総理以降歴代首相の何人かは何らかの拘りで靖国神社参拝を強行し、中国に批判させるスキを与えて来た。特に小泉首相は就任後毎年参拝を繰り返す事で、中国民衆の怒りに火を付けた。
では小泉首相の靖国神社参拝だけが反日デモの原因なのかと言えばそうではない。1989年の天安門事件後、中国共産党政府は民主化運動の抑え込みとして愛国教育に力を入れた。共産党政権が抗日運動の中から生まれた政権という事で、愛国のダシとして反日教育を行なっている訳である。戦前の中国大陸はアヘン戦争を仕掛けたイギリス、北方から圧力を掛けたロシアなど敵対国は多くあったはずだが、愛国教育の中では何故か日本を最大の敵国として教育をしている。しかも中国には日本のように複数の教科書がある訳ではなく、国定教科書一冊で、共産党政権の固定的歴史観を国民に押し付けている。
共産党独裁政権の中国では天安門事件が良い例だがデモの自由がある訳ではない。にも関わらず今回の反日デモは実質的に許可されただけでなく、日本大使館・総領事館への投石行為すら黙認した。官製デモとして中国政府が行なわせていると見られても仕方がないだろう。しかも破壊行為に対する謝罪・賠償すら応じないようでは、法治国家なのかすら疑わせる。投石による破壊行為は日本で言えば器物損壊であり、警察をして犯人を捜査すべきだが、官製デモである以上そうした事は当然行なわれない。法治国家ではなく、政権のさじ加減で如何様にでもなる国だという事を中国自らが国際社会に知らしめたのである。
以上が今回の反日デモに対する私の考察であるが、では日中関係修復にはどうしたら良いのであるか？ 靖国神社参拝については単純に参拝を止めて将来的にもしない事を宣言すれば足りる。戦死日本兵に対する参拝は千鳥が淵戦没者墓苑で行なえば十分である。一方の中国における愛国教育という名の反日教育はどうしたら良いのか？ これは個人的には共産党独裁政権を終わらせ民主的な政権を樹立するのが最も有効的な解決策だと思う。しかし国外の我々が言うのは内政干渉であるし、民主的な政権を作るも作らないも中国民衆の自由である。
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