横田めぐみさん拉致の実行者が辛光洙容疑者であるとの新事実が出て来た。実行者は処罰されたとの北朝鮮発言とは裏腹に辛容疑者は北朝鮮では英雄扱いされている人物だ。北朝鮮の言う事などとうてい信じられないというのが現実だが、小泉首相秋の退陣前に国交正常化を行ないたいとする意思が日朝両国にあるように思われる。しかし急ぐ必要は何もないのではないだろうか？
横田めぐみさんの夫は、韓国からの拉致被害者とされている。拉致については日本人拉致よりも、韓国人拉致の方が数では桁違いで、少なくとも数百人が拉致されていると言う。ところが韓国はこの事に対して解決を図ろうとする意欲は無いらしく、全くもって不可思議である。金大中、盧武鉉両大統領共に太陽政策の妨げと考えているのか、日本における拉致問題の取り扱いとは雲泥の差である。もし韓国が自国の拉致問題について北朝鮮に対しもっと強い態度で臨んでいれば、日本の拉致問題の進展は当然異なったものになっていたはずである。その意味でも韓国人拉致問題は本来もっと大きな重要な問題である。
金大中大統領(当時)が平壌を訪問し、南北統一が近いと思わせたのは何年前の事であっただろうか？ その後統一に向けて動くどころか北朝鮮の核問題が表面化して自体は悪くなる一方だった。結果として北の圧制政権は延命し、多くの北朝鮮国民は餓死し、日本の拉致問題も解決しない、それがここ数年の現実である。
盧武鉉政権の太陽政策とはいったい何なのだろうか？ 一見北との宥和によって統一を図ろうとする政策にも見えるが、多分現実は違うのだろう。韓国民の多くは北朝鮮と統一して国民負担が増えるよりは、北の圧制政権が延命しても韓国に危害が及ばなければそれで良しと考えているのだろう。だから表面的には南北統一と言いながら統一に向けての具体的行動は起こさない、それが現実である。これは韓国民にとってはごく望ましい事かも知れないが、独裁政権の圧制に苦しむ北朝鮮国民にとっては悲劇であり、朝鮮半島全体で見れば利益にならない。
冒頭私は日朝国交回復を急ぐ必要はないと書いた。必要なのは圧制政権を打破し、北朝鮮国民の餓死者、粛清によって殺される者を一人でも減らす事である。その為には勿論南北統一が望ましい選択肢である。しかし対話による統一が困難だとして、戦争による武力統一も回避するのだとすれば、経済制裁などの外圧をテコに国民蜂起を起こさせ圧制政権を自壊させる、そうした方法論しか残っていないのではないだろうか？
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