日本人には古来引き際の美しさというものがあった。一方で戦争責任を曖昧とする悪い先例もあった。参院選後の安倍総理による居座りの態度は、美しい国を台無しとする一方で、責任を取らない第二次大戦後の先人の悪例を踏襲し、若い世代への教育上最も好ましくない状況を作り出している。報道によれば、今月末にも内閣改造を行なう方向のようだが、選挙が示した民意は安倍総理自身の退陣であり、速やかな内閣総辞職を要求する。
今週自民党内からは安倍総理への批判が相次いだ。中谷元・元防衛庁長官は「一度、首相は身を引いて。」と退陣を要求し、小坂憲次前文部科学相は、「国民はホームランを打たれた投手に交代を求めた」と自民党内での党首交代に言及し、石破茂元防衛庁長官は何を反省するのか具体的に明らかにしろと要求した。これらの発言は全く正当なものだが、権力にしがみ付く者は全然聴く耳を持たないようだ。
確かに、参院選は政権選択選挙でないという、現政権の主張は正しい。では、ここまで党内外から批判を受けている以上、国民の選択を総選挙で確認すべきだ。年内の早い時期に解散を行ない、国民に信を問う事が常道ではないだろうか？ しかし権力亡者安倍総理が、そのようにする可能性は低いのかも知れない。それは現在衆議院の3分の2以上の絶対多数を占めており、総選挙でより自民党が優位となる状況など生まれる可能性の無い事は自明だからだ。
例えば国民年金の国庫負担2分の1問題というのがある。これは消費増税以外のより良い解決策があるとは考えられない。自民党内の次期首相を目指す方々は、こうした国民受けの悪い増税問題を安倍総理の時代で片付けてもらう事は望ましいと思っているはずだ。そして衆院絶対多数時代である今それを行ない、増税と共に安倍総理が退陣してくれる事くらい、次を狙うものとして嬉しい状況はない。
しかし仮にどのような状況があるにせよ、安倍氏の取った態度は日本国における美学を壊したと言ってよい。それはご本人が主張する「美しい国作り」と正反対の事を率先して行なったという事である。この悪行についての評価は遠くない時期に歴史家が行なう。戦後政治史上最悪の宰相として名を残す。そうなる前に民意に従い退陣する時間はまだあると考えるが、安倍総理自身は最悪の選択をするものと考える。
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