今年は良い年ではなかった。特定秘密保護法、韓国軍への武器供与に続きこの靖国参拝である。自民党を大勝させた結果がこれだ。例え多少景気が悪くても、よりマシな政権を作る政党に勝たせるべきだったのだろう。
安倍晋三は岸信介というA級戦犯として逮捕された者の孫であり、先勝国によってA級、B級と意味なき分類で裁いた事自体に怒っている人物だ。総理在任中に靖国参拝を続けた小泉純一郎の後継者であり、前の内閣の時に参拝出来なかった事を痛恨の極みと悔いていた。よって今回の参拝はある意味予想の範囲内だ。
しかし前回近隣諸国への配慮で参拝は見送った。今回そうした配慮をせずに参拝を強行させたのは寧ろ中韓両国とも言える。小泉氏は安倍氏がこれまで参拝を回避していた件について、参拝をしないで中韓関係は良くなったのかと批判していた。現実に、中国は尖閣諸島周辺での領海侵犯を繰り返し、韓国は前大統領の竹島不法上陸のみならず解決済みの慰安婦、戦時徴用の賠償問題の蒸し返しを続けた。結局参拝を見送っても良くはならないと安倍氏が小泉氏の弁を受け容れ、参拝を強行したと言える。
そもそも1978年のA級戦犯合祀後1985年の中曽根元首相の公式参拝まで、中韓両国は首相の参拝に対して特に反対などしていなかった。それをこれは政治カードに使えると判断し、批判と引き換えにODAなどの交渉材料にしてきた。近年は歴史問題とする事で、中国共産党や韓国政権に対する国内の不満・批判を外に向けさせる為の、絶好のスケープゴートにされており、中韓両国に日本の首相の靖国参拝に対し批判する権利などそもそもないと思う。
では安倍氏は靖国神社を参拝して良かったのかと言えば、とんでもない間違いだろう。中韓両国を喜ばせているだけだ。最悪は中国国内の反日デモ再発で、日系企業に対する暴徒襲来の再発だろう。仮にそれが回避されたとしても、在留邦人に対して危害を加えられたり、いやがらせを受ける事は避けられない。日本製品に対するボイコットも進むものと思われる。中国が経済大国となり、韓国がサムスンやLGといったハイテク産業で闊歩する中、不要な摩擦は回避するのが大人の対応だろう。
小泉氏の靖国参拝時、中韓両国以外から大きな批判が有ったようには記憶していない。米国の失望声明のみならず、ロシアやEUからも批判的な声が聞こえるのは安倍政権の根回しの悪さと言う他ない。1985年以前に批判をしていなかった中韓両国に、靖国参拝批判等する権利のない事を各国に理解させる努力が足りない。
しかしでは首相在任者の靖国参拝が今必要かと言えば、そうは思わない。私は千鳥ヶ淵の戦没者慰霊公園への参拝で十分だと思うし、A級戦犯の分祀や靖国代替施設の建設にも賛成だ。しかし仮に代替施設を作っても靖国神社がある限り、安倍氏や小泉氏のような人物は靖国神社への参拝を選ぶのであり、多分意味のない代替施設になるのだろう。結局のところこうした人物が政権に就く事のないよう、選挙で選択をするしかない。
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