森退陣が表面化した頃の報道は野中・小泉両氏の一騎打ちということだった。しかし野中氏が固辞しているという事もあって最近俄かに浮上してきたのが、橋本龍太郎元総理の再出馬説である。本日の段階ではまだ確定ということではないようだが、これについて見解をまとめておきたい。
私は今の自民党では経済の構造改革や財政再建を進めるのは難しいとの見方であり、その意味では自民党支持ではないので、次期自民党総裁に誰がなろうとも余り興味がない。しかし自民党総裁が内閣総理大臣となる現状ではよりましな人物になってもらいたいと考えるのは当然であろう。さて橋本氏は宮沢氏同様に元総理でありながら現内閣の閣僚であるが、私がバブルの歴史的考察で書いたように、バブル発生の責任を負っている人物である。その人物が過去の責任に問われることなく、まだ政界に残っている事自体に日本的政治の堕落を感じる。
宮沢氏の退陣は政治改革の失敗であったが、橋本氏の退陣は橋本リセッションという言葉が示すように、景気対策の失敗であった。そうした人物がこの日経平均1万3千円前後の厳しい時期に再選を目指そうとするようでは自民党の景気に対する姿勢を疑わざるを得ない。更に言えば財政再建に手を付けながらリセッションで元の木阿弥にしたのも、省庁再編も単なる数合わせで意味のないものにしたのも彼＝橋本元総理の責任のはずである。
橋本派対YKKあるいは守旧派対改革派という対立構図らしいが、郵政三事業の民営化を唱える小泉氏に対し、特定郵便局などの票をバックに既得権益にしがみつく橋本派ということだろう。であれば、肥大化した郵貯の改革を橋本氏に期待することは愚かであり、よりマシな政権として小泉氏に頑張って欲しいと考えざるを得ない。財投改革と特殊法人改革は財政再建のメインテーマの一つであり、それに後ろ向きな過去の亡者には出馬自体をご遠慮頂きたいものだ。それとも自民党は参議院選挙での敗北を見据えて暫定政権と考えているのだろうか？
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