本日の岸田政権発足で最悪夢の安倍・菅政権九年間が終わった。菅氏は安倍氏の残した一年についてのショートリリーフだったが、それでもかなりの負の遺産を残した。
安倍晋三氏は八年近くに及ぶ長期政権ながら、対ロ交渉失敗、拉致被害者救出無し、トランプ追随兵器の高値買い等外交面で大きな汚点を残した。菅氏は短期政権なので外交舞台すら殆ど無かったが、何らの成果も無かった事に変わりはない。G7サミットでは英語がしゃべれないという事なのか、他の首脳達と一人離れている姿が哀れに感じた。
政権発足早々に引き起こした親子丼疑惑と、日本学術会議の推薦者六名の任命拒否は大きな負の遺産だろう。前者の解明はかなり曖昧だったが、接待を受けた総務省役人は処分された。自民党有力者の子息からの接待を断れなかった役人は自業自得とはいえ、貧乏籤を引かされた感じだろう。後者は酷いものでとうとう最後まで任命拒否した理由は明かさなかった。日本学術会議は今月になって再度の任命を求める動きに出ており、岸田政権に問題を先送りした形になっている。
この任命拒否理由を含め、答えない、説明しない政府と言うのが菅政権の代名詞になってしまった。首相記者会見ではコロナ対策といって入場できる記者を制限する。質問が終っていなくても遮って終わりにしてしまう。そもそも始まりの方の質問はサクラであって、菅氏は事前に官僚が書いた回答をプロンプターや紙を見て棒読みするだけだった。国会でも同様で、何度質問を受けても同じ官僚原稿をただ棒読みするだけであり、無駄な国会審議と言うべきだろう。
この原稿棒読みが最悪の形で出たのが広島原爆慰霊祭での原稿読み飛ばしだ。菅氏はのりが剥がれず一枚読み飛ばしたと弁解した。事前に読まないのだろうかと疑問に思ったが、どうもこの言い訳は嘘だったらしい。下の記事に詳細は書かれているが、のり付着の痕跡は無かったのだ。
菅政権の最悪の遺産は当然コロナ対策となる。コロナ終息前にGoToトラベル等の事業を進めて、全国に感染を拡大した。ワクチン接種はG7では最も遅れて、その中での五輪・パラリンピック強行で第五波の高波を引き起こした。デルタ株は五輪に伴う入国制限緩和で、不十分な水際対策をすり抜けて国内に入った。現在(10/2現在)新型コロナの国内累計死者17,709人だが、安倍政権最後の日(2020/09/14)にはまだ1,450人だった。この差16,259人が菅政権時代の死者数になる。勿論この全てとは言わないものの、少なくとも半数は稚拙な政策によって感染拡大した為に亡くなった方と捉えても間違いはないだろう。
幸い第五波は下火となって9月末で緊急事態宣言は解除されたが、そもそもなぜ感染者が急減したのか判っていない。しかもPCR検査の検査拡充は行なわない。なのでいつまた第六波が拡大してもおかしくないという状態にある。個人的には岸田政権が先ずすべきはPCR検査の拡充で第六波・五回目の緊急事態宣言を回避する事だと思う。しかし新任の後藤厚生相は元大蔵官僚であり、感染対策に詳しいとは思えない。従前の厚労省方針を覆せるだけの力量が有るとは現時点では考えていない。
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