銀行に対する外形標準課税については、３年前行政の横暴と書いたが東京高裁の判決がそれを認めた。「勝ったような負けたような」判決ではなく、都側の全面敗訴である。既に上告を決めたようであるが、還付金に課される約4%とされる法定金利を考えれば、早々に和解に動く事が傷を小さくする手段だろう。石原都知事は四月の都知事選に再出馬するか否かまだ未表明であるが、再出馬どころか即刻辞職をし、数十億円に達する還付加算金に対する責任を取るべきである。
石原知事と都の主税局長らが過去の給与を全額返済したところで穴が埋まるものではないが、そうでもする事が都の納税者に対するせめてもの償いではないのか？ 年間20億円以上の穴を開けた行政担当者が何ら責任を問われないのが日本のシステムであるのなら、この国の破綻は遠くないと言わざるを得ない。東京都の納税者は今回の外形標準課税に対する責任を当事者に強く求め、数十億円に達する還付加算金の穴埋めをどのようにするのか、その対応に対する回答を明確に求めるべきである。
そもそも税収不足の穴埋めに新税・増税で対処しようとするのは、地方独自の課税権に対する議論以前の問題である。しかも悪役銀行をターゲットにすることで世論を喚起しようと図った事など、ポヒョリスト政治家らしいスタイルだった。しかし石原知事がすべきだったのは行政改革であり、課税強化ではなく無駄な都経費の節減だったのである。第二都庁舎の民間への貸出しなど、何か有効な政策を彼がしたのだろうか。とかくマスコミの話題になる知事だったようだが、そうした評価すべき政策に対する話は聞かない。
元々持論であったはずの横田基地返還だったが、何ら目新しい進展はないのではないだろうか？ 元運輸大臣という肩書きで、羽田空港国際化を進めてくれるとの期待も完全に裏切られている。羽田空港の拡張問題で都が一部資金を負担するのか否か揉めているのが現状だが、何が都民の利益になるのかを考えたうえ行動すべきだろう。誰も都心から一時間半もかけた成田まで行きたいなどと思ってはいないのである。都市博の中止で無駄な経費の支出を多少は回避した青島前知事の方が、まだましな都知事と評価せざるを得ないのが現状だろう。
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