このサイトでは12年前の五輪招致の時から二度目の東京五輪に反対してきた。残念ながら反対の声は届かず、しかも新型コロナの感染拡大の中、開催中止とする事が出来ずにしかもほぼ無観客という悲しい姿での開催強行となってしまった。
昨年安倍前首相が一年延期をIOCに求めた時は、ワクチンが間に合うだろうという楽観的観測をしていたと思われる。であればそのストーリーに沿って早期にワクチンを確保すれば、五輪開会時に全人口の7割が二回接種済みというシーンは実現可能だっと思う。ところが菅政権はその努力を怠り、OECD諸国で最下位レベルのワクチン接種率で、全く間に合わない状況になった。そこへ他国と同様にデルタ株(インド株)の感染拡大でとうとう東京での四回目緊急事態宣言下での五輪開催と言う愚かな状況に陥った。有観客はごく一部のみで、全体としては前例のない無観客開催だ。
確かにアスリートの方々にとって五輪は四年に一回しかない実力発揮の舞台であり、例え無観客でも開催して欲しいという希望はあるものと思う。しかし開催二週間前の段階でも、来日選手・関係者のコロナ陽性発覚が相次いでおり、このままだと相当に大きな感染拡大を招き、結果として新型コロナでの死亡者が増えるものと推測される。個人的には五輪はあくまでも不要不急なスポーツイベントであり、日本国民や場合によっては来日する選手・関係者の命を掛けてまで強行開催するべきものではないと考えている。
しかも二回目東京五輪には新型コロナ以外の不安要素が有る。1964年の東京五輪は秋空の下での開催だったが、今回は35度越えの猛暑になる可能性が有る。米国のテレビにとって最も好ましいとされる夏季は、スポーツ開催に最も適していない猛暑の時期に重なる。富士山がその時期に噴火するとは考えていないが、夏台風の襲来やある程度大きな地震の発生は有り得るだろう。災害の多い日本はそもそも五輪のような国際大会開催に相応しいとは思えない。
観客の需要に期待したホテル業、航空業界等は大きく傷付き、抽選でやっとチケットを当てたと思った方々は無効或いは再抽選となる事で大きな混乱となる。それよりも観客の入らない施設を作ったコストや、チケットの払戻金は誰が負担するのか? それは結局のところ招致の段階に遡ってしまうが、当時の石原都知事に大きな責任が有る。確かに招致成功時の都知事は猪瀬氏だったが、彼は単なる石原氏の後継人でしかない。であれば石原元都知事には責任を取って欲しいが、それを取らせる法的根拠もないだろうし、本人にその気はさらさら無いのだろう。
感染を恐れる有望選手が来日せず、五輪では日本のメダルダッシュになるとの予想も有る。仮にそうだとしてそれは喜ばしい事なのだろうか? 例え日本が過去最高のメダル獲得と言った大会になったとしても、それ以前に余りにも失ったものの多い五輪という他ないだろう。当初コンパクトで金の掛からない事を売りにしていたはずだが、これは大きな嘘で最も金の掛かる大会になっている。それでも海外からの観客で潤えばよかったのだろうが、それが無くなった今となって大幅な赤字だろう。赤字は全て招致し且つ中止の声を無視してきた関係者が責任を取って欲しいものだ。
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