小泉首相が二度目の訪朝を行ない、拉致被害者2家族が帰国し国交正常化交渉の再開が約束された。しかし内容を見れば、事前に私が2度も反対を表明していた懸念そのままであり、評価に値するものは何もない。金丸訪朝に並ぶ外交の敗北として日朝史に残る汚点となった。
１．核開発問題
具体的な進展、内容皆無。
２．国交正常化交渉
核開発問題の解決・見通しが無いのにも関わらず、再開に向け協議開始。
３．拉致問題
拉致被害者不明10人については再調査を約束したが、期限すらなく実質的には幕引き。家族5人は帰国したものの、曽我さん家族については第三国での面会となりジェンキンス氏の自由意思確認困難に。
今回の訪朝で最も問題なのは、5人の家族帰国に対しコメ25万トン、医療品1千ドル相当という見返りを与えただけでなく、経済制裁措置の発動をしないと約束した点である。国家テロリストに見返りを与える行為は、イラク人質事件の際に政府が言っていたことを自ら否定する行為である。しかも経済制裁措置の発動回避の明言で、今後の日本側外交カードを抑制することとなった。
小泉首相は「現地で被害者家族に帰国の意思を確認するのは避けた方がいい」という基本方針を無視してジェンキンス氏を説得しようとした。北朝鮮内では家族が本音を言えないという事すら理解していなかったようである。曽我さん家族が帰国しないのであれば25万トン支援は3分の2、半分にしますというのが外交交渉ではないのか？ 恐らく今回の訪朝の唯一の成果は、この時期に訪朝を組み入れた事で、首相自らの年金未納・未加入問題を闇に葬ったことくらいなのだろう。日本国民全体から見れば最悪の結果と言える。
金正日総書記側からすると会見時の微笑のとおり全面勝利と言える内容である。この金正日の笑みに、道路公団改革が頓挫した際の道路族古賀誠氏の笑みを重ね合わせたのは私だろうか？ 道路公団改革頓挫の時に、小泉首相は民営化委員会の意見の8割は採用したと、残り2割の根幹の方が重要であるという事が理解出来なかった。恐らく首相は家族5人の帰国は自分の成果であると考えていて、自らの失態を理解していないのだろう。もはや日本は自分の年金未納・未加入問題隠匿のために、北朝鮮まで行って茶番劇を演じる首相の退場を迫るべき時に至った。
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