菅政権へ、最悪の総裁選結果 (2020.09)

 「安倍政権へ、最悪の選挙結果」というのは第二次安倍政権前に書いたものだが、まさか8年経って同じ様なものを書くことになるとは思わなかった。菅政権というのは実質第三次安倍政権であり、とても良識ある国民が受け入れられるものではないだろう。岸田、石破両氏が良いとは思わないが、少なくとも菅氏よりははるかにまともと思えた。

 政権で最も問題なのは菅首相、麻生財務大臣、荻生田文部大臣というこのトリオだ。これの意味するところはモリカケ桜は済んだことでもう再調査などしませんというものだろう。新内閣で最も重要なのは安倍前首相の犯罪行為を闇に葬りますと言っているようなものだ。麻生財務大臣は二年以上前に、文書改竄の責任を取って辞めているべき人物であり、新内閣で再任されるべき人物ではない。野党が安倍晋三なき安倍内閣とこの内閣を揶揄するのはある意味当然だろう。

 閣僚の再任が8人もいて、それ以外にも加藤官房長官とか、河野行革担当大臣とかたらい回しもいて、安倍亜流内閣であり、新しい首相の独自色ある内閣には程遠い。岸防衛大臣というのは、姓が異なるので騙されそうだが、安倍前首相の実弟だ。集団的自衛権の解釈を変えた後に、安倍氏と同じ考えを持っているかも知れない実弟を防衛大臣にするなど、この上なく危ない配置と言わざるを得ない。

 拉致担当大臣は前回と同様に官房長官が兼務だが、これなどは拉致問題については何もしませんと言っているのに等しい。寧ろ復興相になった平沢勝栄氏辺りに兼務させた方が、過去の実績を考えれば余程期待が出来るのだろうに。

 加藤前厚労相の後釜に過去にも経験の有る田村憲久氏を当てたのは、唯一まともな人事かも知れない。しかし田村氏が加藤氏との比較では、厚生知識に豊富なのは事実だが、新型コロナの感染抑え込み政策を的確に打てるかどうかは別問題だ。暫くは田村氏のお手並み拝見だが、コロナ担当大臣自体は西村経済再生大臣が兼務継続なのだろうか?

 安倍政権の継承を掲げているこの政権は、モリカケ桜の再調査阻止以外何を目指しているのか皆目判らない。デジタル庁創設という話もあるが、運転免許をデジタル化とか何をしたいのか見えていない。 既に防犯カメラの顔認証を警察が試みているようだが、そうした国民監視の旗振りでも影でしようとしているのではないだろうか?

 最もすべき事は実質賃金を低下させ、年率2%の物価上昇を実現できなかったアベミクス失敗の考察だと思うが、そもそも失敗したと認めてすらいないようだ。日銀が買い込んだ国債やETFについて、どう処分するのかという出口戦略については、少なくとも来年秋の次の総裁選までは何もしようともしない最悪の政権になりそうだ。



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